春学期第11回ゼミ

こんにちは!
ブログ担当の提中です。
早いものでもう7月。春学期ももう終わろうとしています。もうすぐ夏休みですね。
テストやレポートの提出とまだまだ気が抜けませんが、充実した夏休みにしたいです。

さて、さっそく今回のゼミの内容紹介を……。
今回は4限で『批評理論入門』の「フェミニズム批評」「ジェンダー批評」について議論を行いました。
「フェミニズム批評」は、1970年代以降に性差別を暴く批評として登場しました。
この批評の中で、女性の書いた作品を研究対象とする立場を「ガイノクリティックス」といいます。『フランケンシュタイン』は、作者が女性であるということで、ガイノクリティックスの対象となりました。メアリ・シェリーが何故自分の名前を伏せて作品を出版したのか?ということについて、「女性であったから」ということも理由の一つとして考えられています。それは、この作品が書かれた時代、女性の読み書き能力は軽視され、ペンでの自己表現は男の領分だったためです。こうしたことから、フェミニズム批評では、『フランケンシュタイン』はペンを持って書きたいという女の欲求不満と羨望を子供を産みたいという男の子宮願望に置き換えた作品だとされます。
また、当時の作家で出産を経験した女性はほとんどいませんでしたが、メアリは最初に妊娠してから数年間、ずっと妊娠し続け生まれた子供が次々と死んでいくという経験をしました。メアリは出産と死が入り交じる不安の中で、女性としての稀有な立場から母性に伴う陰気な側面を描いています。
フェミニストたちが、「性差別をなくしたい」という思いで登場したフェミニズム批評ですが、母性や出産の経験など、女性にしかないものがあると主張することで、逆に男女の差異が強調され、男性と女性の間に境界が出来てしまい、フェミニズム批評は行き詰ってしまいます。

そこで、登場したのが「ジェンダー批評」です。
「ジェンダー批評」は「フェミニズム批評」と異なり、男性女性両方を連続的なものとして捉えます。
ジェンダー批評には、男の同性愛者を扱う「ゲイ批評」、女の同性愛者を扱う「レズビアン批評」、両性愛者や性転換者なども対象に含めた「クイア理論」があります。
『フランケンシュタイン』では、フランケンシュタインとウォルトン、またはフランケンシュタインとクラヴァルの関係はゲイ批評の対象となり、エリザベスとジャスティーヌの関係は「レズビアン批評」の対象になります。
ここで、ゲイ批評は現代のいわゆるBL二次創作と関係があるのか、ということについて議論になりました。
BL二次創作とは、既存の作品をもとに男性の登場人物たちの間に恋愛感情があると妄想をし、二次的に作品を創作することです。ゲイ批評の目的は、異性愛だけでなく、同性愛も普通の恋愛であると主張することにあります。『フランケンシュタイン』のように、一見異性愛だと思われるものの中でも、同性愛的要素が含まれていることもあるということを分らせることに意味があるとします。そう考えると、異性愛が描かれている作品の中に同性愛的要素を見出し、それを批評という形ではなく作品にしたものがBL(またはGL)二次創作だといえるかもしれません。

5限ではジュディス・バトラーの『ジェンダー・トラブル』について議論を行いました。
セックスは生物学的性差、ジェンダーは文化的性差をいいます。ジェンダーは一見セックスのうえにあるように思われますが、バトラーは、ジェンダーのほうが先にあり、セックスはジェンダーに含まれるとします。セックスは、身長が高いとか低いとか、目が一重とか二重とか、数ある身体的特徴の一つにすぎません。ただ、性器の有無が、他の機能に比べ再生産において重要なため、2つに分けられるかのように思えてしまうのです。しかしその、再生産をしなければならないという考えも、人口が重要な近代国家によって政治的に都合がいいように構成されてしまっています。

最近は、授業内で疑問点を全て解決できず、夏合宿に持ち越しになることが多かったのですが………
今回は全員すっきり理解することが出来ましたー!
ただ、ジェンダーについての問題は皆なかなか興味深かったようで、時間があれば夏合宿でもっと掘り下げたいということになりました。
個人的にセックスはジェンダーに含まれるのだということが目から鱗でした。

今回も長い文章になってしまいましたが、読んでいただき、ありがとうございました。
ではまたお会いしましょう!

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中