2024年度問題分析ゼミナール2次募集入室試験要項

本ゼミへの入室試験2次募集に応募を希望する学生は、情報コミュニケーション学部の事務室の指示に従い、以下の書類を提出してください。

1. レポート: 以下の内容について論じること。

1) 志望理由 2)ゼミで取り組みたいこと(対象・作品があれば,それも示すこと)。

書式:WordもしくはPDF、A4横書き、字数2,000字前後

2. エントリーシート: 以下のファイルをダウンロードし、必要事項を記入すること。

9期生第3回 「精神分析批評 他者の存在が必要。自己分析には限界があるらしい」

第3回

こんにちは、今回担当させていただく白井です!

10月5日に扱ったのは、山田広昭「テクストの無意識はどこにある」、谷崎潤一郎『夢の浮橋』で、レジュメ担当は室井さんでした。

様々な内容があったのですが、精神分析批評が成り立つ上で重要なのは「転移」でした。

なぜ重要なのか。簡単にいえば、転移しないと、無意識的欲望を分析できないからです。

カウンセラーや精神科医は患者を治療しますが、その際にこれまでの他無意識的欲望が再演されることがあります。そうした反復を診断することで、患者は無意識的欲望を把握することができるようになります。

つまり転移を発生させるためには、他者の存在が不可欠であり、転移を経験して初めて無意識を把握することができます。

精神分析批評の転回点

テクスト分析を行うためには、上記の転移を基に、読者もまた「テクスト」との間に転移関係を生む必要があるそうです。

批評家(カウンセラーや精神科)はテクスト(患者)を解釈します。その過程で、テクスト無意識が批評家に反復されます。つまり、批評家が解釈するとき、テクストは批評家に無意識的欲望を転移するため、互いに欲望を貸し合う状態だといえます。

そうして、「精神分析」ならぬ「テクスト分析」の実践が開始されます。

『夢の浮橋』の批評 山田広昭「テクストの無意識はどこにある」

『夢の浮橋』は谷崎潤一郎著の小説です。彼が73歳の時に書かれたものです。

今回の論文では、『夢の浮橋』は「転移された欲望、受け渡されたナルシズムの物語」と結論づけられています。

2つの謎

・誰が武(第二の母の子)の父親なのか

息子である「私」

・誰が母を殺したのか

おそらく「私」

作品のテーマ「分身」

・産みの母の分身としての第二の母の姿

・「私」の顔が父親と非常に似ている事実の反復

・武(弟)の顔が母に酷似している

キーワードは隠蔽欲望です。隠蔽欲望とは、主体にとってはるかに重要な意味を持つ記憶、抑圧された性的記憶や幻想を覆い隠したものです。

山本さんは、この用語をずらして、ある欲望が特別な鮮明さをもって現れることで、もう一つの別のより重要な欲望が露出してくることを隠蔽しているとみなしうる場合に、前者の欲望を「隠蔽欲望」と呼んでいます。

では『夢の浮橋』における隠蔽欲望とは何だったのでしょうか?

繰り返される母子相姦的欲望により覆い隠されている欲望。

それは「父の欲望」と呼ばれるべき、息子を自分の分身と設定することで現れるナルシズム色を帯びる欲望のことです。

息子に取り込まれるのはナルシズム的な欲望はそれ自体でした。

それゆえに、ある時点において欲望対象としての母は不要となり、むしろ阻害要因へと変化します。つまり、母を欲望するのは息子である私の欲望から発せられるのではなく、父のナルシズムによるものであるがゆえに、そのナルシズムがエスカレートすると、母の存在は不要になります。

ナルシズムは反復されています。そして、物語の終幕が「私」の独りよがりの理屈、すなわち、武が望んでもいないのに二人で暮らす選択を突き通して終わっています。

端折り端折って、このように『夢の浮橋』は「転移された欲望、受け渡されたナルシズムの物語」と結論付けられるわけですが、

ゼミ内で、この『夢の浮橋』がどのような小説なのかを結論づける必要がありました。

まず武という存在は母に顔が似ているため母のコピーだと考えられますが、私は離れ離れにされてしまった武を武の同意なしに引き戻します。次におそらく私は母を殺しています。

これらは父母>私の権力関係を逆転させる行動です。

なぜならば、主に父への抵抗が見て取れるからです。私は父親の思惑通りに母を欲望し、結果的に武をつくりますが、父親は私と武を遠ざけました。その武を連れ戻す行動は父への抵抗の表れです。さらに父のナルシズムに従うのであれば、母を殺すに至ることはないだろうと考えられます。

つまり『夢の浮橋』とは、私は武を引きずり戻すことで自らの帝国を築き上げることに成功し、父から転移されたナルシズムを私基準で高める物語なのではないか、と授業時間内にまとまりました。私基準というのは、もはや父のナルシズムのレベルではないということです。

しかし、「ぬるい!!」

ゼミ内でそんな声が聞こえてきました。解決したかのように思われた今回の議論も、もっと先にいけるのではないかと。たしかに、もっと先にいけたらよかったかもしれません。

ただ、ちょうど時間になってしまったので、今回はできませんでした。

別作品にはなってしまいますが、精神分析の回はまだ残っているので、作品への理解・解釈を深められたら良いなと思っています。

『夢の浮橋』は初めて読んだので良い体験でした。

正直、精神分析は理論として非常に興味深い一方で、作品批評に用いることは難しそうだなと感じてしまいました。それでも、夏目漱石『こころ』の精神分析の授業がまだ残っているので、その際にビビッとくるものがあれば、是非用いてみたいと思っています。

ここからは雑談です。

先日、名古屋までライブ目的で行ってきました。

何で行ったかというと、高速バスです。朝早くは嫌で、調べたところバスタ新宿を8時ごろに出発するバスがあったので、それに乗ることができました。

始めて使いましたが大学生の味方ですね、高速バスは。

乗るバスの種類にもよりますが、新幹線の半額かそれ以上に安いです。

8時ごろ出発して、少し道路が混んでいて14時前ごろに着いた気がします。

それで、何のライブに行ったかというと、水瀬いのりです。有名な声優さんなので、知っている方も多いかもしれません。

友人がファンクラブに入っていて、その友人が当ててくれた席はなんと6列目!爆音スピーカーが目の前にある状態で、振動と音量がヤバかったです。

それ以上にヤバかったのは、ステージ端の6列目だったので水瀬さんも近くまで来てくれました。目が合っていたのではないかと思います。楽しかったです。

大学生に入ってからライブに行く回数が確実に増えています。楽しいのは良いのですが、確実に耳が悪くなっています。(貯金もできないです)ライブ用の耳栓も売っているみたいなので、買ってみようかなとも思います。

それと矢場とんに行きました。矢場とんはみそカツで有名な飲食店です。

みそカツ食べたくてどこ行くか迷ったとき、矢場とんに行けば後悔しないのではないでしょうか。他の店を知らない白井ですが。

そのくらい美味しかったです。

飯テロしときます!

今回は以上です。ありがとうございました!