9期生第2回 『映画の理論』第8章 音楽

9期生の4年ゼミ2回目を担当する阪口です!

4年春学期は映画の分析について学んでいきます!

本日の課題文

それでは早速参りましょう。

『映画の理論』第8章 音楽

ジークフリート・クラカウアー

今回のキーワードは「映像の写真的な生」

映画のショットは写真の延長である

=音があることで現実的なものとして感じられる。生がある!

写真:本質的に自己完結

映画:充溢した生を完全再現

無音の映像を長時間見続けるって、想像してみると結構退屈だと思います。

私は5分ももたないです。

これをクラカウアーさんは「色褪せた亡霊」と呼んでます

大論点「映画音楽にどのような機能があるのか」

結論「観客に映像へ向かわせる機能がある!」

  • 中論点1:映画音楽の生理的機能とは何か

結論:観客をスクリーン上の映像の流れに生理的に適合させること

映画音楽は美的欲求から必要とされたのではなく、「音楽が伴奏されていること」が必要だったから生まれた

Q.無声映画時代における音楽の役割とは?

→観客を無声の映像の中心に引き込み、映像の写真的な生を経験させること

・現実の生を実感させる

・聴衆の受容能力を刺激する(共感覚効果)

Q.有声映画時代における音楽の役割とは?

→音楽伴奏(「解説的な」音楽)の役割は、観客の焦点を映像に合わせること

・音楽が全部環境音の映画は、映像に集中できない

・自然な音は断続的にしか知覚されず、それによる空隙を保つために必要

・言葉の陰に隠れてしまいそうになった映像を支えることができる

  • 中論点2:映画音楽の美的機能とは何か

結論:聴衆を視覚的探求へと向かわせること

音楽は、解説的音楽や伴奏として機能するだけでなく、実際の音楽や作品の核としても使用される

Q.解説的な音楽とは?

→ショットに潜在しているさまざまな含意の一部を控えめに強調する機能を担っている

・並列法では、物語全体の雰囲気や特定の視覚的テーマを重視して表現し、強化している

・対位法では、映画と音楽との齟齬によって、観客が映像をよく調べるよう導く

Q.実際の音楽は映画に対して適切か?

→使われ方によって問題を含んだり、映画的になったりする

・音楽演奏を映像化することは映画とは相容れない

・ミュージカル映画のストーリーは現実の生に基づいており、歌の数々はプロットに基づいている。ゆえにプロット的リアリズム傾向と歌を使いたい造形的傾向の葛藤から緊張感が生まれる

・音楽演奏を中位の中心から外すことによって、映画の一要素に注目させる

Q作品の核として音楽が使われる場合の美的効果は?

→作品の核としての音楽は、映像の糧にありながら映像を強調する

・視覚化された音楽は、映画において映像の方が音声より優先される結果、音楽が主導的役割を放棄し、伴奏という役割に逆戻りする

・オペラ映画では、オペラの世界の前提がが映画的アプローチと異なっているため、融合するために一体感が生まれることがある。 

作品分析

応用では、2016年のアメリカ映画『ラ・ラ・ランド』を今回の理論を用いて分析したらどのように解釈できるかを話しました。

ラ・ラ・ランドでは繰り返し使われている曲があります(シティ・オブ・スター)

この音楽は映像に集中させていると考えられます。でも、ラ・ラ・ランドは最初の曲と最後のIFの世界のシーンしか覚えてないよねって話になり、ちゃんと論理的にこの理論を使わないと説得力は生まれないと結論づけました。最終的には、この理論を用いて分析を行うこと自体の難しさが争点になりました。

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