こんにちは!そしてお久しぶりです。藤田雄成です!
9月13日~15日にかけて清里のセミナーハウスにて内藤ゼミの合宿がおこなわれました。私はその後半戦のブログを担当させていただきます。
合宿の全体の感想を述べると、、、つらかった!そして楽しかった!なんかすごい矛盾しているけどそんな感じです笑 今まででこんなに長時間頭を使って議論することは経験がなかったのでとても疲れました。決してこのゼミをなめていたわけではありませんが、こんなにも奥深いゼミなのかと感じた3日間でした。では二日目午後から合宿を振り返ってみたいと思います。

中村さん
昼食を食べた後、10期生の発表に移りました。最初の発表者は中村さんです。
「『A3!』のファンがキャラクターから呼ばれる呼称としての「監督」は何を指し示すのか」という問いを元として発表がなされました。使われた理論はベネディクト・アンダーソンによって提唱された「想像の共同体」とジュディス・バトラーによって提唱された「パフォーマティヴィティ」です。そして、「『A3!』のファンがゲームのキャラクターやゲームを舞台の作り手に「監督」と呼ばれるときの「監督」という言葉はファンが属する「監督」という想像の共同体を示し、ファンの行為によって作り上げられた「監督」というアイデンティティを示す」という結論が導き出されました。
まず、『A3!』について中村さんは前回のレポートでも取り上げていました。2期生の板橋さんがおっしゃっていたように「前回はなぜ本作品を好きになったのか、そして今回は好きで居続ける理由」、というように同じ好きでも角度を変えた分析になっている点は面白いなと感じました。ちなみに私は『A3!』についてレポートを読むまで全く知りませんでした。そこで合宿後、本作品の舞台の紹介映像を見てみました。たしかに役者がファンのことを監督と呼んでいて非常に興味深かったです。
また、私はレポートを読む中で自分が共同体のなかに存在すると認識することがどのような意味をもつのか疑問に思いました。考察に書かれていた共同体に存在するという意識によって共同体同士の対立が起きる、という記述はこの疑問に答えてくれているような気がしました。また、ロボさんがおっしゃっていた、ゲーム制作側がよりゲームを広めるために想像の共同体が一役買っているという指摘がとても府におちました。
また、卒論構想についても発表してくれました。卒論構想の話になったとき私も来年はこれを考えなければならないのか、と重い気持ちになりました笑
中村さんもまだ、具体的に決まっていないとおっしゃっていたのですが、社会に認められないことへの抵抗、そして貢献というのが大筋のテーマでした。抵抗だけでなく、貢献を目指しているのが素晴らしいという意見が多く出ました。これについて私もそうだと思いました。中村さんが3つほどあげてくださった社会に認められないと感じたエピソードは、ジェンダーに関する問題もありましたが、その枠にとどまらない思いもあると感じました。
山崎さん
次の発表者は山崎さんでした。ゼミ生のなかで最後の発表です。
「依子と尚子は互いの出会いからどう変化したか」という問いを元に発表がなされました。使われた理論はクイア理論とジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリが提唱した生成変化です。そして、「依子と尚子は互いの要素を取り入れ、さらに他者へのなりすましを行うことで生成変化し、依子は暴力性による生きづらさを、尚子は自分の意思に従った行動ができないことによる生きづらさを解消するすべを得た」という結論が導き出されました。
まず、『ババヤガの夜』という作品は私が読みたいと思っていた本でした。なので先に論文で知ることになったかという思いもありつつ、楽しく論文を読むことができました。あらすじを読んで見ると、かなりハードな作品であることがわかりました。読むときは山崎さんのレポートを思い出して依子と尚子の変化に注目しながら読みたいです。
また、質問のなかで中村さんが、依子と尚子が他者になりすまして生きていったことは生きづらさを解消したことになるのか、という指摘はかなり鋭い視点だと思いました。偽装することが二人にとってどのような意味をもったのかは、もう少し考えなければならないと感じました。また、ほかの人の意見とかぶっていたかもしれませんが、私の意見として、尚子が父親の支配から脱したことは男性社会からの脱却を表しているのではないでしょうか。そして尚子が男性の姿になったことは男性社会に支配される女性という存在から脱却したことを示しているのではないでしょうか。まだまだ考える余地がある素晴らしい作品ですし、レポートだと思いました。
そして次に卒論構想についてです。山崎さんもまだ具体的には決まっていないとおっしゃっていましたが、生きづらさを感じた時どのように対処すればよいかというのが大筋の問いでした。生きづらさというのがまだぼんやりとしているのが課題点のようです。生きづらさというのはほとんどの人々が抱えていると思います。私も今、生きづらさというものに直面しています。卒論でどのような内容になるか楽しみです。
春学期積み残し
ゼミ生全員の発表が終わった後、ゼミ生だけ残り、春学期に終わらなかったミシェル・フーコーの「知への意志」について議論しました。ちなみに発表者は私、藤田雄成です。春学期の最後の授業でこの内容に取り組んだのですが、挫折してしまいました。よって今回はそのリベンジです。最初はゼミ生のみんなに手伝ってもらうつもりでしたが、内藤先生のいったん一人で苦しんでみろという指摘を思い出し、一人で最初から読み直し、レジュメを完成させました。この時間では私が疑問に感じたところを4年生の先輩方も含めて話し合いました。まず、話題に上がったのがこの理論をどうやって用いるかという問いです。特定の人物に注目して分析するなどの意見がでた一方、ジョウ君が死と生に宗教を結び付けると面白いのではないかという発言をして興味深かったです。また、性的欲望の装置というのは新しい時代のものであり、死や血といったものは古い時代のものであるということを確認しました。
花火
長い長い議論が終わりました!夜は花火をおこないました。外はとても暗かったです(怖)
最後はみんなで線香花火で対決しました。私のやつはすぐに落ちちゃいました…..
みんな夏を感じてましたね(笑)


人狼
深夜はみんなで部屋に集まって人狼をおこないました。実は私、人狼というのをちゃんとやるのが初めてでした。まあ、とりあえずやってみるか~くらいの感覚だったのですが、、、いざやってみると楽しい(笑)最初のゲームで即、内藤先生が脱落したのも面白かったですし、ジョウ君の意味不明な言動も面白かったです。押入れが脱落者の墓場になるスタイルは、いいシステムですね笑
あと役職のパン屋ってなんだ????

映画「憂鬱の楽園」
さて、合宿もいよいよ最終日、3日目に突入です!
この日はジョウ君がおすすめしてくれた台湾映画『憂鬱の楽園』を見ました。
見て最初に感じたこととして、わからない!というのが正直な感想でした。特にラストのシーンが全くよくわかりませんでした。しかし、議論を重ねていく中でだんだんこの作品について理解できるようになってきました。議論ではまず、モチーフ、そして重要となる二項対立を話し合いました。二項対立に関して、台湾語を話すのが男性、中国語を話すのが女性、という二項対立があることを知ってとても興味深かったです。また、家族というのもこの作品で重要だという発言がありました。そしてガオという登場人物が血縁家族に縛られていたこと、途中からピィエンなどの疑似家族を優先したことなどが解釈として導き出されました。ラストの車がクラッシュする場面はガオの重視した関係(疑似家族)が旧来の関係(血縁)によって、なかなか前に進まないということを表しているのではないでしょうか。

私は合宿が終わったあと、みなさんの感想、意見も踏まえてもう一度映画を見てみました。最初に見た時よりも深く見ることができた気がします。例えば、ガオは「社会に出てから何もない」という発言をしていました。上海にレストランを開くという話も進んでおらず、無気力な印象です。そのぽっかりと空いた穴をピィエンのトラブルを助けることで埋めていたのではないでしょうか。他にも特徴的なカメラワークに表現された美しい自然の風景と人間の金をめぐる醜さというものが対立してあると感じました。
BBQ
すべての議論が終了した後はいよいよBBQです。肉がたっぷりとありました。焼きそばもおいしかったです。食材を焼くのがひと段落したところでみんなで感想を言い合いました。非常に濃い3日間になったと思います。

観光~帰宅
BBQのあと、何人かは帰宅し、残った人たちで清泉寮に観光に行きました。そこでまず、ソフトクリームを食べました。とても美味しかったですが、溶けるのがはやい!(汗)もうちょっと味わって食べたかったですね笑 そのあとは牧場にでて清里の自然を感じました。いやあ~気持ちが落ち着きますね。

ここで清里駅前の廃墟について気になったので調べてみました。清里駅は1933年にできた歴史ある駅です。実は清里は昭和後期から平成初期のバブル時代に清里ブームがおき、駅前などは「高原の原宿」と呼ばれたほどに人々がたくさんいたらしいです。しかしバブル崩壊後はブームも過ぎ去り観光客は減り、清里は衰退の一途をたどります。駅前に多くある廃墟はかつての清里ブームの断片を見せているといえるでしょう。
ちなみに余談なのですが、清里駅からさらに小梅線で進むと野辺山駅という駅があります。これは帰りに井上さんに言われて気づいたのですが、野辺山は今年のコナンの映画の舞台となった場所です。いつか行ってみたいなあ笑
この3日間で私の足りない部分がよくわかった気がします。秋学期は誰よりも頑張るぞ、という気持ちで臨みたいと思います。
そして、最後に私を励ましてくれた11期生のみんな、そして素晴らしい運営をしてくださった10期生の先輩方、社会人の目線から新しい視点を提供してくださったOB,OG、外部の方々、ロボさん、厳しいながらも鋭い指摘をしてくださった内藤先生、ありがとうございました!