初めまして。今回のブログは柴田が書かせて頂きま~~~す!
~性格描写~
文学はキャラクターが命!というわけで本日扱った最初のテーマは「性格描写」。
突然ですが「二面性のあるキャラ」っていいですよね。
「ヤンキーが野良猫にこっそり餌やってた!」「優しい糸目キャラが開眼したらメッチャ怖かった!」
こういった「多面性」がキャラに深みを与えてるんではないかなと思います。
ですがなんと、このようなキャラクターが持て囃されるようになったのは近代以降!
割と最近なんですね。
ところで近代といえば…
_人人人人人人人人人_
> 個人主義の登場 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
そう。個人主義です。
近代以前は「複雑な人間性」というものは認められていませんでした。
人は生まれながらに与えられた「天命」に従って生きればよい。貴族に生まれたら死ぬまで貴族らしく、百姓に生まれたら死ぬまで百姓らしく。そこに人格の多面性は要らなかったのです。
(近代以前の物語、例えば歌舞伎なんかだと善玉/悪玉がハッキリ分かれてますもんね。これを平面的人物というらしい)
ですが近代に入り、天命や身分ってそんなに大事か?みたいな風潮になってきました。
「生まれなんか知らねえ!俺は自分らしく生きる!」
しかし程なくして人類は気付きます。
「自分らしさって、何だ…?」
そう。生まれが関係無くなった今、自分で自分のアイデンティティを模索しなければならない。何者かになろうとする度に、何者にもなれない自分に直面する。そもそも一貫した自分なんて本当に存在するのか…?かくして人類は長きに渡る思春期に突入します。
そこで大切にされるようになったのが「一面的でない複雑な性格描写」だったのです!なるほど〜(こっちは多面的人物という)
〜アイロニー〜
次に取り上げたテーマはアイロニー。アイロニーとは「見かけと現実の相違から来る皮肉」のことを言うらしいです。
これだけだとよく分からないので、アイロニーについて自分なりにまとめてみました!↓
〜あらすじ〜
あるところにAちゃんとBくんがいました。
Bくんのことが好きなAちゃん。
しかしなかなか自分の気持ちに素直になれないご様子…。
【言葉のアイロニー】
Aちゃん「Bくんの、バカ………///」
→言ってることと意味するところが違うので、言葉のアイロニー
【状況のアイロニー】
Aちゃん「Bくんの、バカ………///」
Bくん「ひっど…近寄らんとこ…」
Aちゃん「振り向かせようと思ったのに!ガーン」
→意図したことと実際に起きたことが違うので、状況のアイロニー
【信頼できない語り手によるアイロニー】
(Aちゃんによる語り部分で)Bくんは馬鹿だと思った。
→信頼できない語り手によるアイロニー
以上です!
〜昔話の形態学〜
最後に扱ったのはウラジミール・プロップの「昔話の形態学」です。
昔々誰かが言いました。
「文学も良いけどさ、やっぱり時代は科学だよね〜」
文学者プロップ「なんだと💢」
愛する文学を蔑ろにされブチギレたプロップは、どうやって文学を科学の仲間入りさせるか(どうやって科学的に分析可能にするか)を考え始めました。
そこで目についたのが生物学のいち分野「形態学」。
これは構造主義とも関わる学問で、個々の生物の形態に通底する「型」的なものを分析するものらしい。
これを文学に応用できるのでは?と考えたプロップ。そこで思いついたのが「昔話の形態学」でした。簡単に言うと、昔話には「型」(定項という)がある!という話です。その型とは以下の通り。
【7つの登場人物】
- 主人公
- 敵対者 …敵
- 派遣者 …主人公を旅に出させる
- 贈与者 …主人公に試練を与え、試練に勝ったらお助けアイテム・お助けキャラをくれる
- 助手 …お助けキャラ
- 姫 …攫われたり主人公と結婚したりする
- ニセ主人公
【31の機能】
- 留守 …家族の成員のひとりが家を留守にする
- 禁止 …〈主人公〉に禁が課される。依頼や忠告、命令、提案の場合もある
- 違反 …禁が破られる
- 探り出し …〈敵対者〉が探り出そうとする
- 漏洩 …犠牲者に関する情報が敵対者に伝わる
- 謀略 …敵対者は、犠牲となる者なり、その持ち物なりを手に入れようとして、犠牲となる者をだまそうとする
- 幇助 …犠牲となる者は欺かれ、そのことによって心ならずも〈敵対者〉を助ける
- 加害 …〈敵対者〉が、家族のひとりに害を加えるなり損傷を与えるなりする
- 仲介 … 被害なり欠如が〈主人公〉に知らされ、主人公に頼むなり命令するなりして主人公を派遣したり出立を許したりする
- 対抗開始 …探索者型の〈主人公〉が、対抗する行動に出ることに同意もしくは決意する。
- 出立 …〈主人公〉が家を後にする
- 贈与者の第一機能 …〈主人公〉が〈贈与者〉によって試され・訊ねられ・攻撃される。そのことによって、〈主人公〉が呪具なり助手なりを手に入れる下準備がなされる。
- 主人公の反応 …〈主人公〉が、〈贈与者〉となるはずの者の働きかけに反応する
- 呪具の贈与・獲得 …呪具あるいは〈助手〉が主人公の手に入る
- 二つの国の間の空間移動 …〈主人公〉は、探し求める対象のある場所へ連れていかれる
- 闘い …〈主人公〉と〈敵対者〉とが直接に戦いに入る
- 標づけ …〈主人公〉に標がつけられる ※カッコイイ傷、痣など
- 勝利 …〈敵対者〉が敗北する
- 不幸・欠如の解消 …発端の不幸・災いか発端の欠如が解消される
- 帰還 …〈主人公〉が帰路につく
- 追跡 …〈主人公〉が追跡される
- 救助 …〈主人公〉が追跡から救われる
- 気づかれざる到着 …〈主人公〉がそれと気付かれずに、家郷か、他国かに、到着する
- 不当な要求 …〈ニセ主人公〉が不当な要求をする
- 難題 …〈主人公〉に難題が課される
- 解決 …〈主人公〉が難題を解決する
- 発見・認知 …〈主人公〉が発見・認知される
- 正体露見 …〈ニセ主人公〉あるいは〈敵対者〉(加害者)の正体が露見する
- 変身 …〈主人公〉に新たな姿形が与えられる
- 処罰 …〈敵対者〉が罰せられる
- 結婚 …〈主人公〉は結婚し、即位する
王道RPGですね〜。
ジャンプ作品にも通じるものがあります。
しかしこの物語形態、批判もあるらしい。
すなわち、マッチョイズム全開すぎる!
(姫との結婚など)主人公が男性である前提なのもそうですが、男はこうあるべし!という価値観も固定されているんだとか。男は黙って、冒険!男は黙って、戦闘!
しかし男女平等化が進んだうえ、人類が根性論に疲れ始めた近年。
アンチ・プロップ的な物語も増えているように感じます。(戦う女性キャラ、誰も戦わないほのぼの日常アニメ 等)
私は愚直を愛しているので王道的な物語も好きなのですが、一面的な価値観からの解放はよいことですね。いろんなお話があったほうが楽しいです。
本日はここまで!