8期生第2回「映画で実践カルチュラルスタディーズ」

お久しぶりです、8期生の上西です。

今回のブログは少し簡潔に書かせてください。頑張って書いた下書きが消え、意気消沈なうだからです。生暖かい目で見守ってくれると嬉しいです。

第2回のゼミでは、映画「千と千尋の神隠し」を千尋のアイデンティティ獲得をテーマに分析しているテキストを扱いました。主に5つの観点から分析されています。

越境

越境は自己の変化、あるいは自己と他者との関係の変化をもたらします。境界を越える旅を重ねて千尋は成長していきます。

境界の例としては、現実世界と神様の世界を隔てると同時につないでいるトンネルが挙げられていました。千尋はこのトンネルを通り神様の世界に入り、冒険していく中で成長していきます。

名前

名前は自己と他者を区別し個人のアイデンティティを示す記号ですが、基本的に名前とは自分の意思で選択するものではありません。そのため自己と他者の常に移り変わり続ける力関係の指標として機能します。

湯婆婆は千尋に千という新しい名前を与えました。この描写から名前を与える湯婆婆と名前を与えられる千尋という上下関係を見てとることができます。

主体

主体は他者からの呼びかけによって成立しています。そして主体は可変的で、社会的差異が複合的に作用する中で形成されていきます。

物語の序盤では内向的でシャイな千尋でしたが、油屋の人々との関割りの中で社会的に応答責任を持つ存在として主体化されていきます。

食は自己と他者の混交をもたらす過程です。食べることは消費であると同時に自己の再生産であり、自己と他者の絆を確認する共同の営みでもあります。

千尋は銭婆の家で銭婆たちと共同作業をした後でお茶やお菓子を共に食べることで絆を確かめます。

物語とアイデンティティ

千がアイデンティティを獲得できたのは、彼らが自分達の現在を過去から連なる物語の中に位置づけることができたからです。アイデンティティの獲得には自らの言葉で語られる物語を他者に伝えるコミュニケーションが必要です。

テキストは以上5つの観点から千尋のアイデンティティの獲得のプロセスを分析していました。

テキストを読み終えて「千尋は本当にアイデンティティを獲得したと言えるのだろうか」という疑問が挙がりました。ラストシーンでは千尋はトンネルの中での一連の出来事を忘れているように描かれているからです。

話し合いの末、銭婆の「一度あったことは忘れないものさ、思い出せないだけで」というセリフや、最後に銭婆からもらった髪留めがキラリと光ることから、トンネルの中での出来事は千尋本人は覚えていないが、潜在意識下で彼女に影響を与えているだろうという結論に至りました。

以上です。お読みいただきありがとうございました。

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