第12回 7期生 『Dolce&Gabbanaは香水の専門店ではありません』

「ファッションは毎日を生き抜くための鎧である」

これは写真家ビル・カニンガムの言葉ですが、服は着る人やそれを見る人の心に大きな影響を与えます。今回の前座では内藤先生のジェンダーと絡めたコムデギャルソンのデザインの話を聞いてとても興味深かったです。かくいうわたしも、ラグジュアリーブランドのコレクションを見るのが好きで、毎回発表されると、動画を検索して見るのが高校生の頃からの習慣になっています。

その中でも1番印象的だったのが、2019年春夏のDolce&Gabbana Alta Modaのコレクションです。Valley of the Temples で開催されたウォーキングの動画があり、50分弱と長めですが、今でも何度も繰り返し見ているくらいお気に入りです。何がいいかというと、撮影している場所と、音楽の荘厳さに、お洋服のデザインが絶妙にマッチしていてただただ美しいのです。それでいてたくさん登場する服からはひとつのコンセプトを感じられ、見ているだけで想像力を掻き立てられます。まるで物語の世界のように世界観に入り込めるようなコレクションはほかに知りません。お時間ありましたらぜひ検索してみてください。インスピレーションを得られるかもしれません。

さて、本題にはいります。今回はマルクス主義批評を勉強しました。マルクス主義で大切なのが「下部構造」と「矛盾」です。下部構造は、ピラミッドの下部に経済があり、その上に思想や政治が乗っかっているのをイメージするとわかりやすいです。経済的なことが、社会的、政治的なことを決定付けているという考え方です。矛盾は、文学においてあるべきものが欠落して書かれることで、社会の中の経済的な矛盾が歴史性を生み出します。具体的にいうと、生産体系の歴史はこれまで

アジア的→古代的→封建的→ブルジョア的→[革命]

と移り変わってきました。マルクス主義はこの後に、社会主義的→共産主義的が続くとよいと考えます。これはなぜかというと、生産体系(つまり経済)が牧歌的なものから奴隷を利用するもの、契約によるもの、資本主義によるものと移り変わっていたことで社会に矛盾が生じて、それが労働者の桎梏になり、階級闘争が生まれてしまうからです。そしてその度に争いが起こりました。もし社会主義的、共産主義的生産体系になれば、桎梏は生まれず、平和が訪れると考えるからです。

とはいえ、これを今すぐ実現するのは現実的ではなく、さまざまな問題が残っています。完全に社会主義的生産体系にするのは難しいですが、ベーシックインカムの制度の導入などから考えてみるのもいいかもしれません。これにも教育面や資金面などの問題があり難しいところですが。

このようなマルクス主義を、文学批評に応用してみます。マルクス主義批評です。ゴジラを例に取って考えてみましょう。ゴジラはシリーズ化されており、最初の作品は1954年に発表されていますが、今年にも「ゴジラvsコング」が公開されるなど、関連作品はコンスタントに発表され続けています。もちろん、作品が作られる時代背景も変わっています。時代背景とはマルクス主義でいう経済のことです。一作目が公開された頃、日本の経済は伸びておりそんな中起こった第五福竜丸事件の残留物からゴジラは生まれました。日本のアッパークラスが生み出したゴジラですが、家が潰されるなど、その被害はミドルクラスが受けます。にも関わらずゴジラを倒したアッパークラスはまるで英雄のように描かれる。ここに矛盾が生じます。

この矛盾を解決するのがそのあとに続くシリーズということになります。原子力発電が主流になってからは、それがゴジラを生み出した世界を作り、被害を受けるミドルクラスを描き、国策が間違っているのかもしれないと、日本経済をシニカルに描いています。

よく、原作とそれに続く2次創作についての議論がなされますが、たいていはオリジナルのファンが2次創作を批判して終わりになりがちでした。しかしただ表現を小説から映画、漫画からドラマに変えるだけでなく、2次創作では、階級などの観点でオリジナルでは解決しきれない問題を解決することで原作との差異を生み出せば、それは唯一無二の価値ある2次創作物になりそうです。

マルクス主義批評の話から、現代でも盛んな2次創作についての議論まで展開することができるなんて驚きでした。難しいイメージで今まで手をつけてこなかった経済の分野ですが、これを機に関連本を読んでみようと思いました。とっつきにくそうな分野でも、自分の好きな分野と結びつけて考えると理解しやすくなったりしますね。昨日かの有名な「博士の愛した数式」を初めて読んだのですが、高校時代あんなに嫌っていた数学に少し優しい気持ちになっているのに気付きました。やはり本は偉大です。文学や映像で、理系分野や政経分野を扱った面白い作品がありましたら教えていただけると嬉しいです。

わたしが春学期に書くのは最後のブログになりました。読んでいただきありがとうございました!

村上菜々子

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