春学期第14回 3年ゼミ

こんにちは。今回の担当は大下です。

3限は前回の内容とかぶりますが「ポストコロニアル批評」、それから「新歴史主義」について、おなじみ批評理論入門から学びます。4限はミシェル・フーコー『知の考古学』から「4 比較に基づく事実」を取り上げます。(権力云々は時間上深く学べず)

 

ポストコロニアルは前回の蓄積があったのでかなりさらっと。植民地化された国や文化圏から生まれた文学作品を研究する、あるいは帝国主義的文化圏出身者の作家が書いた作品で、どのように植民地が描かれているのかを研究するという手法があります。日本はこの場合、西洋から見ると東洋に属する一国である一方、アジアにおいて支配者になった歴史があることから、立場的に微妙な位置におかれています。

では『フランケンシュタイン』ではポストコロニアル的に読み解くとどうなるのでしょうか。批評理論入門では、オリエンタリズムが、ド・ラセー家に訪れるトルコ人娘サフィーの登場する場面に見受けられると書いてあります。作品内においてトルコ人は、民族的偏見ゆえに無実の罪を着せられた犠牲者としての一面と、狡猾な忘恩者としての一面を持たされています。さらに、サフィーの母親がキリスト教のアラビア人であるために、サフィー自体を肯定的に描いていたり、あるいはサフィーにフランス語を教えるものとして使われた『諸帝国の廃墟』において、アジア人の劣勢とヨーロッパ人の先天的・文化的優勢とが対比されているなど、この場面ではさまざまなオリエンタリズムが垣間見えます。一方で、ヴィクターの人造人間製作、ウォルトンの北極探検、クラヴァルのインド植民地化構想は、すべて挫折に終わっていることから、この作品においてアジア人は劣勢に物語られているけれども、ヨーロッパ人による侵犯行為も成功に至っていない(優勢に描かれているわけではない)ということになります。

ポストコロニアル、オリエンタリズム共に理論に疑問はなかったので、授業内では少し発展的なことを議論しました。アジア圏内でも日本国内でも、オリエンタリズム的支配があるということ。その根底には国民国家という難しい問題が絡んでいます。何をもってして一国家とし、その国家にどのような人は入ることができ、どのような人が排除されてしまうのか。あるいは日本人とはなんなのか。どんなことを理由に日本人となりうるのか。ベネディクト・アンダーソン『想像の共同体』の話も持ち上がりましたが、”日本”というものがあると想像することで”日本”が沸き起こってくるという現象、たしかに否めないな、と思いました。結局違いなんてないのにわざわざ違いを見出そうとするために他者をさげすみ、自分を優位に見せ、存在を示そうとする。人間のあさましい欲の表れのような気がして、寂しい気持ちになります。

 

さて、新歴史主義に移りますが、大下、ぶっちゃけよく分かっていないような気がします!!ただ忘れているだけなんだったらいいのですが……ひとまず振り返りを。

新歴史主義は1980年代から起こり、再び歴史という要因を文学研究に復活させた一派のことです。旧歴史主義のようにひとつひとつのできごとを重視したり、特定の時代精神と歴史を結び付けたりするのではなく、歴史をより広範に社会学や文化人類学など〈社会科学〉と位置付ける考え方です。

先生から理解しやすいように教わったことがメモ書きされていたのですが、要は旧歴史主義ではアンネの日記、源氏物語を虚構であるためにその時代の歴史として認めず、説明や論証に一切使わないのに対し、新歴史主義ではそういったものもより広い視野で歴史をみるために取り扱うこともある、ということです。これで大分納得がいったのですが、批評理論入門では十分な解説を受けられなかったので、4限フーコーのほうに議論を移しました。

フーコーは新歴史主義的な読解作業のことを、”考古学的分析”と名付けています。文章が難解なため、彼の言いたいことは上記のようなことだという姿勢をブレさせず、文の詳細確認に勤しみました。いままでA領域のことはA領域内でしか語られてこなかったものを、B領域、C領域のなかで咀嚼する。そうしたことが考古学的分析であり、こうして次々と新たなものを浮かびあがらせることができるために多様化を促すものである。また、あるものは一つの領域にしか存在しないと思われていたが実はさまざまな領域にわたって存在することが可能であったことを示したりもできる。ということを読み取りました。的を射ていればよいのですが(笑)

 

春学期、お疲れ様でした。

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